院長紹介
Doctor
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院長 齋藤 薫
ごあいさつ
私は長年「歯科保存学」分野の研究・治療に携わってきました。病気になった歯を治療して状態を改善し、またその歯が活躍できる状態にする治療分野で、主にむし歯と歯周病の治療です。地味な分野ですが歯科治療の中心を担う大事なものだと思い専攻しました。すなわち、人工物に頼らずにそもそもの自分の歯を活かして食生活を営めることこそが本来の健康だという考え方です。
研究においてはむし歯の原因・メカニズムに関して世界的な業績のある東北大学歯学部口腔生化学講座でいわゆるCariologyについて学ばせていただき、また歯周病関連細菌の病原性を調べる研究を行いました。ここが私の歯科医師としてのスタートです。
しかし患者さんの治療に携わる中で、手間のかかる歯科保存治療を行ってもまた悪くなってしまう方がほとんどという現実を目の当たりにしました。誰もそんなこと望んでいないだろうと思いますが、何度も何度も治療が必要になる。それはその度にさらに歯に穴が開いたり骨が溶けたりしてしまうことですので、もはや抜歯という選択を免れないこともしばしばです。私たちは患者さんに「抜くのですか!?」「入れ歯ですか!?」と言われることになるわけですが、素直な患者さんの気持ちだと思います。でもこれでは何のためにそもそも保存治療をやったのだろう、やった意味が果たしてあったのか?ということになってしまうと思います。
このジレンマに悩んで私が考え出した答えは、治療するときになぜ病気になったのかを患者さん自身が知ることが必要だということです。私にはまさにそこを学ぶ機会があったのです。
歯が病気になっているのなら、必ずそこには原因がある。当たり前の話です。そして歯の状態を回復しても原因がそのままなら、どうなるでしょう?また病気になるに決まっています。ならない方が不思議です。しかし、歯科治療を行った際にその原因やメカニズムもちゃんと理解したという方はこの世の中にどれほどいるのか。ほぼゼロでしょう。そんなことはないと思った方もいらっしゃるかと思いますが、そこにはさらなる問題があって、歯科疾患については多くの「誤解」もあることがさらにこの問題を根深いものにしています。
例を挙げると、むし歯の原因はなんでしょう?そう尋ねるとほとんどの方が「歯みがきがおろそかだったから」と答えます。よく考えてみましょう。歯みがきをやるとむし歯になるならそれは原因ですが、そうではない。つまり歯みがきは対策であって原因ではないのです。もし仮に歯みがきをやらないとむし歯になる(実はこれも嘘)なら、それはなぜか?のほうが原因です。現実には歯みがきをあまりやらなくてもむし歯にならない人はたくさんいます。皆さんのお知合いにもいらっしゃるでしょう。かたや、一生懸命歯みがきをしてもむし歯が多くて泣きたくなるほど悩んでいる方もたくさんいらっしゃる。歯科疾患を取り巻く現実は、これほどまでに歪み、悲しいものになってしまっている。私はそう思いました。
そう考えて以降、私は治療に際して必ず、今後病気を繰り返さないように取り組む大切さを患者さんにお話しすることにしました。これは決して簡単なことではないのですが、私の人生を通しての挑戦でもあります。保存治療で回復することと、それを維持するための「病気の原因の解決」。これは本来ワンセットであるべきものだということをお伝えする。これが冒頭に書かせていただいている「歯を守る治療」というコンセプトのことなのです。
ただしそれは今直面している痛みや不便を解消するものではありません。もちろん痛みがあれば応急処置は必要ですから優先して行いますが、従来の回復治療(悪くなっちゃったからやらざるを得ない治療)だけではこの先もまたそんなつらい状況が必ずやってくることは間違いありません。
むし歯は治せない。治せないものはならないようにするしか本質的な解決はできません。しかしながら防ぐ(むし歯の進行を止め続ける)こともまた確実にできます。つまりそれは唯一むし歯を治す方法として、未来のむし歯を今なら治せることを意味します。今のむし歯は過去の自分にとっては未来です。その時取れる手立てを実践していたら・・・、その歯は今でも丈夫であるはずです。しかもそれは麻酔して削って型を取ってのような労力をかける必要もなくなることでもあるのです。このようにいろんな意味で守る治療はお得なのです。
今、歯を守ることはある程度確実にできるものになっています。あなたにとってかけがえのないお口や体の健康が大事なものならば、従来の回復治療はもちろんしっかり行ったうえで、少しの労力を「歯を守る治療」に向けることを、毎日が安心で明るい未来を実現するという意味で、Positiveに考えてみませんか?
略歴
- 昭和63年3月
- 福島県立福島高等学校 卒業
- 平成6年3月
- 東北大学歯学部 卒業
- 平成10年3月
- 東北大学大学院歯学研究科(歯周病学)修了
- 平成10年4月
- 東北大学歯学部附属病院保存科 医員
- 平成14年10月
- 東北大学歯学部歯内歯周療法学分野 助手
- 平成15年4月
- 宍戸歯科医院 勤務
- 平成16年5月
- 郷野目かおる歯科クリニック 開業