歯が痛いとき
歯が痛い。そんな経験は多くの方にあるでしょう。痛いのは治してほしい!と思うのは当然ですが、「痛い」というのは実は厄介な曲者なのです。
歯に穴が開いていて触れば痛いとか、レントゲンで影が映っていてこの歯で嚙むと痛いとか、見た目の所見と誘発される痛みが重なってあれば、ほぼ原因が特定できて治療に入れます。
ところが、普段は痛くないけど噛むとすごく痛い。冷たいものがしみたりしない。むし歯の治療はしてあるけど見た目は問題ない。レントゲンにも異常が見られない。歯ぐきも正常だ。こんなこともしばしばあります。そうすると何が原因で痛みが出ているのか様々な可能性があるので、判断が付かないことがあります。
そもそもむし歯が深くて治療はしたけど実際のダメージはもっと奥まで行っていたとか、レントゲンには映っていないけど歯にヒビが入っているとか、歯ぎしりなど力の負担で歯がねん挫したようになって痛いのか。痛み方などいろいろお聞きしたり打診痛を調べたりして、何となくは予想ができても確証が得られない。こういう時に有効なのは「待機的診断」です。例えば少しかみ合わせを調整してみて軽減するかどうか経過をみる。するとまた違った症状が出てきて診断がつくこともありますし、痛みが治まる場合もあります。
また時には、歯や歯周組織には全く問題がなくても神経系の異常で歯が痛く感じることもあります。この時にご本人は痛くてしょうがないので、「歯を削ってどうにかしてくれ」と訴えられます。しかしそれをやると、歯には問題がないので余計ひどい痛みになることも多いのです。これを「非歯原性歯痛」と言います。このような場合、神経科や心療科での治療が有効なこともあります。下手に歯に触ることは避けなければならないのです。
いったんむし歯などになってしまうと詰めたとしてもその傷跡が残るのが歯の病気です。その後、上ようなことが起こるといろんな意味で厄介なことになってしまうので、歯の病気にはそもそもならないのが一番確かな道だと言えますね。