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「自分の」歯周病を知ろう

2024.11.22

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「歯周病」

 

今どきこの言葉を知らない人はほとんどいないでしょう。毎日ぐらい耳にする言葉になった「歯周病」。これは多くの人が罹っている病気であることの現れ、なわけですが、聞くところによるとギネスブックで世界一罹っている人が多い病気とされているそうです。罹患率のデータでいうと80%以上(解釈の仕方にはいろいろある)とも言われています。

しかしながら、歯周病とはどんな病気ですか?と聞かれると、多くの方が?マークになってしまいませんか?詳細はHPに譲りますが、多くの方が罹っているのにそれが一体何なのかは誰も知らない。これが歯周病の実情なのです。

罹患率が高いということは多くの人が「歯周病で」歯を失くしているということです。でも、歯科医院というと「むし歯の治療をするところ」というイメージの人がほとんどではないでしょうか。歯を失くす原因の病気第一位は今やむし歯ではなく歯周病の時代です。ですから歯科医院は皆さんの中で「歯周病の治療をするところ」にならなければならないと思うのですが、いかがでしょうか。

 

ところが、歯周病は一番の特徴が「症状がない事」と言われています。欧米ではSilent Diseaseとあだ名され、そーっと悪魔のように忍び寄る病気と広く認識されています。そうすると症状がないならそれでいいんじゃない?と思う方もいそうですが、病気が進めば、結局はひどく腫れたり、痛くて噛めなくなったり、自然に歯が抜けたりすることになるのです。つい先日までは日常生活に何も支障がなかったのに、イカを咬んだら歯がぐきっと言って、それ以来1カ月くらい痛みがあったけどおとといから腫れてきた、昨晩は寝られなかった、どうにかしてくれー、ということになります。

 

そして、歯を抜くしかなくなるのです。

 

歯周病は(むし歯も)治せない病気。そして全身の健康に大いに悪影響があることも分かっています。なので、そうならないために治療をすることが意味のある治療であって、そうなってから対処するいわゆる対症療法には本質的な意味はない。まずはこれを多くの方々が理解していただけるかどうかが大事だと思います。世の中の歯周病についての雰囲気を変えるということです。そして次に、では自分の今の病状はどうなのかを知ること。これがないといつまでも自分の病気が他人事になってしまいませんか?

 

歯周病(顎の骨が溶ける病気)は、現在の基本的な考え方として

1.歯に細菌が付着している

2.それによって歯肉に炎症が起こる

3.その直下の顎の骨が炎症の影響により吸収する

というようにして進みます。さらにそれをより促進する因子として、

・タバコ ・噛みしめ癖 ・糖尿病

などが影響が大きなものとして挙げられています。

 

これを踏まえて、歯周病の評価方法としては以下のようなものが重視されます。

1.歯みがきの状態=細菌の付着状況  目標値:PCR値(磨き残し率)20%以下

2.歯肉の出血しやすさ=歯肉の炎症程度  BOP値:PCRに準じた値、相対的な改善

3.歯周ポケット深さ=歯肉腫脹と骨吸収による歯肉と骨のギャップの大きさ

  軽度:4mm以上  中程度:6~7mm  重度:8mm以上

  これにX線写真でも骨の残量をみるなど、多面的に評価する必要がある。

・タバコは、1日10本以上、それ以下、0本、あたりで分けて考える。

・噛みしめは、歯周病の進行が局所的に深い場合にはその影響が大きいと考える。

・糖尿病など全身疾患は、それが医科的に良好にコントロールされていれば良い。

これらの値は一般的に歯周病の治療をする際には必ず検査結果としてまとめられるものなので、歯周組織検査を受けられる際はぜひ注目して見てください(PCR、BOPについては改めて記述します)。

 

歯の病気はゆっくり進むのも特徴です。ですので歯が悪くなったのは年のせいだ、という認識も広くあるのですが、それは誤解です。年で歯は悪くなりません。歯は大事だなぁ。そう思われたら、「自分の」「今の」病状をまず知ることから始めてみましょう。健康は自己責任。自分の歯は自分で守る。当たり前のことですが、世の中のいろいろな誤解によって皆さんの健康が損なわれることがあるなら、それこそが一番改められなければならないことなのではないでしょうか。