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キシリトールって歯にいいの?

キシリトール Xylitol はガムなどに使われ、時に「歯にいい」といったことを聞くことも多いと思います。でもキシリトールっていったい何?なぜ歯にいいの?と聞かれるとどうでしょう。よくわからない方も多いのではないでしょうか。

 

キシリトールは糖アルコール(糖をちょっと変化させたもの)の一種で、天然にも存在する「甘味料」です。砂糖の健康におけるマイナス面を解消するために使用される「代用糖」と呼ばれるものの一つでもあります。現在はトウモロコシの芯などから得られるキシロースから工業的に生産が可能になり、広く使われるようになっています。

 

これはすなわち、キシリトールとは「甘いけど極低カロリーでむし歯にもならない物質」と言ってよいと思います。これだけ聞くといいことづくめのようですね・・・。

 

代用糖にはいろいろな種類がありますが、それぞれの物質の甘さの指標として砂糖を100とした場合にどのくらいなのかが示されています。以前から代用糖は様々ありましたが、その多くが砂糖の甘さ100に対して40とか50とかぐらいしかありませんでした。一言でいうとおいしくないということです。ところがキシリトールはその値が99で、ほぼ砂糖並みの味がするおいしい甘味料なのです。なのでガムなどの食品に最近では多く使われています。

 

ではこれがむし歯に対してどうなのか。むし歯は糖質がプラーク細菌に供給されて酸が作られ、それが歯を溶かすことになるわけですが、キシリトールからは酸が作られないのです。したがって、きちんと様々な要素まで考えられて作られた食品はむし歯を誘発する心配がないと言えるでしょう。しかしこれは歯に良いというよりも、歯に悪くないといった方が良いのではないでしょうか。また、キシリトールに加えてほかに糖質も入っている食品も多くあります。これではキシリトールからは酸が作られなくても結局酸が作られてしまい、キシリトールが使われている意味はありません。

 

むし歯は酸で溶けることではなく、それが回復する再石灰化が妨げられるところに原因がある(HP参照)のです。キシリトールが酸の素にならなくても糖質を摂る機会はずっと多くあります。それをキシリトールガムを咬んだから防げるのか。キシリトールでは防げませんが、キシリトールガムを咬むと唾液分泌が促進されて、間接的には再石灰化が起きやすくなります。これは確かに歯に良い点です。でもキシリトールが歯を丈夫にしたり回復させたりはしないのです。そもそも十分量唾液が出ていれば必要かどうかも疑問です。

 

また糖アルコールは分解されにくい(だから酸が産生されない)ので、多めに摂取すると下痢を引き起こすこともあるとされています。また分解されずそのまま血中に入ってしまうためキシリトールの血中濃度が急激に上がって血管を詰まりやすくするという報告もあります。常識の範囲内で摂取する分には、現在ではキシリトールの使用実績はかなりありますので、そう心配はいらないものかもしれませんが、健康面でマイナスがないことはないのです。

 

砂糖で作られたガムをしょっちゅう噛んでいればむし歯にはなりやすいでしょうから、その点でキシリトールできちんとデザインされて作られた(検査されてトクホなどで合格を得た)ガムであれば安心と言ってよいでしょう。またガムでいえば「リカルデント®」ガムには歯にカルシウムを効率的に補給できるリカルデント成分が含まれています。これは歯質を向上させることが証明されています。ただしこれらの点にも過信は禁物です。物事は何でも「ほどほど」が良いでしょうね。砂糖にしてもキシリトールにしてもほどほどに上手に付き合うことが結局健康への近道なのだろうと思います。

 

最後に。ガムには3種類あります。歯に悪いガム(砂糖)、歯に悪くないガム(キシリトール)、歯に良いガム(リカルデント®)。あなたはどれを選びますか?